基陽は 日々、お客様からのお声を多くお寄せ頂いております。
そこから新たな製品が生まれたり、改良されたりし続けてきました。
その中の一つに、ラチェットレンチ があります。
基陽オリジナルの 『 KH ホールディングラチェットレンチ 』は、神奈川県のある職人さんの声から
生まれました。
ラチェットレンチのコマ部に傷を付けている職人さんがおられたので理由を聞くと「手や手袋に油が付
くと、コマが滑って締められないから」とのコメント。
コマ部は普通 ツルツルなので、傷を付けて細かい溝を作り、滑り止めにされていました。
他の職人さんに聞いても、同じように困っている方がおられました。皆さん、作業性と安全性を上げる
ために加工を要望されており、「なんとなく不便」を解消したいと思っておられる、という事が根底に
ありました。
これは面白いお声だと考え、コマに入れる溝の深さなどを現場の職人さんたちに聞きながら凸凹状の加
工をいれたローレット加工のラチェットレンチを作りました。
せっかくのオリジナルのローレット加工入りラチェットレンチですので、こだわりの職人さんに喜んで
もらえるようにミラー加工やガンメタ加工のシリーズも作り、約25 年販売を続けています。
ところで、ラチェットレンチのコマの反対部分はシノが付いており、ラチェットレンチの事をシノと呼
ぶ職人さんもおられます。
シノとは何か調べると、篠竹(しのたけ)が語源で、篠竹は直径1 ~ 2 センチ程度の細い笹の仲間で、
形が似ていることからシノと呼ばれるようになったとのこと。篠竹は しなやかさと強さがあり、昔から
甲冑や兜などの加工時や生活雑貨の制作等、暮らしや仕事に欠かせない用品の加工に多用されてきたそ
うです。
話は変わりますが、この” シノ” という呼ばれ方の他に、” ガチャ” と呼ぶかたも多いようです。ガチャ
ガチャと締めるからガチャと言われるそうです。
建設現場から生まれた興味深い言葉は多く、いの一番、釘を刺す、建前、赤身、遊び、几帳面、等々、
本当に数多くの、興味深い言葉がいろいろあるようです。
大正時代から言われる 用の美。機能的かつ美しく日常の仕事に役立つ道具である一方で、そのデザイ
ン性やコンセプト、素材にも作り使う人の意識が反映されます。用いられる中でモノとしての機能が昇
華していき愛着の道具となり、使用者の体の一部のような道具になっていき、長く用いられる。これか
らも、お声を伺いながら、道工具作りを続け、お届けし続けていきたいと思っております。